PROUD INTERVIEW
家も大切な「コレクション」のひとつ
北原照久「おもちゃコレクター」
おもちゃのコレクターとして世界的に知られ、グラハム・ナッシュやジョン・ラセターなど各国の著名人から『King Of Collector』と称される北原照久さん。飄々とした親しみやすいキャラクターからテレビ番組『開運!なんでも鑑定団』の鑑定士としてお茶の間の人気を博しています。
北原さんのご自宅は、三浦半島の西側、相模湾に面した佐島に建つ白亜の邸宅。85年にこの家と運命的な出合いをしてから12年。念願叶ってやっと手に入れた、北原さんの究極の“コレクション”なのです。
 
 
運命の出合いから12年。思い続けて手に入れた佐島の家
 
  コレクターとして名高い北原照久さんが、長年のコレクター人生から得た経験則が"ものであっても、自分を一番求めている人のところに行く"ということでした。一度は諦めてしまっても、そのものへの思いが強ければ、流れ流れて自分の元へやって来る・・・と。

「82年に雑誌で"海を庭にしてしまった家"として佐島の邸宅が紹介されていたんです。それが現在の僕の家、旧竹田宮邸でした。海に突き出している家。驚きと同時に、日本にもこんな家があったんだと強い憧れを抱きました。再びその家を眼にしたのは85年。雑誌に"湘南不動産情報"として載っていたんです。でも値段を聞いてビックリ。なんと8億円ですよ!周囲からは絶対無理だろうって言われたけれど、高校時代の恩師の『同じ人間なんだからやればできる』という言葉を思い出して、いつか絶対に買ってやると決心しました」

 しかしバブル時代を迎え、邸宅の値段は25億円まで高騰しました。一時期、夢は遠のきましたが、北原さんの夢に助力してくれる人、情報を教えてくれる人などが自然と集まり、97年、49歳のときに念願の邸宅を手に入れることができたのです。

「僕よりこの家を欲しがっていたお金持ちはたくさんいました。でも一番欲しいと強い気持ちを持っていたのは僕でしょう。不思議な縁を感じますね。この家は僕の究極のコレクション。だから今コレクションの中で暮らしているんです」
 
 
好きなものに囲まれて暮らす、これが僕のライフスタイル  
 
 
 北原さんは念願の邸宅を手に入れた後、1年以上をかけて徹底的に家の傷みを修復し、建てられた当時の、30年代アールデコ様式のインテリアを蘇らせたのです。自分の住み家は自分の好きなもので飾りたい、北原さんのコレクション人生はその思いから始まりました。佐島の邸宅もその思いが満ち溢れています。

「家が手に入る前からなにをどこに配置するか決めていたんです。玄関には映画『禁断の惑星』に登場するロボットROBBYを置く、クリーム色でアールデコの逸品、チョコレートを入れるガラスケースを置く空間はあそこだetc・・・。頭の中で思い描いていたレイアウトと家の中がまったく同じだったのも驚きでした。まるで映画の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のように、未来を見てきたような一致ぶりでした」

夢を実現させた北原さんですが、一番頭を悩ませたのは家のメンテナンス。海風がまともに吹き付けるので塩害がひどく、年に1回は外装を塗りなおさなくてはならないとか。また、台風が来ると、庭に海藻が山積したり、プールが割れたりと苦労が絶えないそうです。

「メンテナンスの苦しみは大きいです。けれども、ここに住める喜びの方が勝っています。これはコレクションと一緒ですよ。手に入れるのも、手入れも大変だけど喜びが紙一重で勝っている。100の苦しみに対して101の喜びがあるから続けられるんです」
 
何気ない日常の一こまに、喜びを感じることが多い人ほど幸せだ
 
  北原さんはインタビュー中何度も『今が人生で一番楽しいときだ』と口にしていました。50歳を過ぎてから始めた趣味は、ギター、ピアノ、ゴルフ、サーフィン、ダイビング、小型船舶4級取得など。好奇心を持つ、興味を持つ、老けたと思わない、これが北原流人生の楽しみ方のスピリットです。

「僕は"好きこそものの上手なれ"を人生で体験してきました。でも今の年齢ではまだまだアイドリング状態。60、70、80代に向けてどんどん加速していきますよ。
人間って暮らしの中で時々『ああ、気持ちいいな』って感じる瞬間があるでしょう。本を読んでいるとき、音楽を聴いているとき、窓を開けたらきれいな夕焼けが見えたとき、豆腐屋さんのラッパの音が聞こえてきたとき・・・。何気ない日常の一こまだけと、そういうことに気づくことが多い人ほど幸せだなと思うんです。気持ちいいな、楽しいなと感じられる暮らしが一番の幸せじゃないかな」
 
そういう暮らしを実現させるには、やはりメインステージとして家が重要だと北原さんは言います。自分らしさとは何か、暮らしに対してどんな夢を持っているか、これからの住まい作りにはそういったコンセプト・メイキングが必要になってくるのではないでしょうか。自らそれを実践し、体現してきた北原さんは、暮らしの達人といえるのかもしれません。
 
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